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仮想での実態の見えないサービス業=ダンスマスター

 


DM= ダンスマスターという、SecondLife日本人社会の中にあるお仕事。

一個20~40秒程の再生時間を持つダンスアニメーションデータを、音楽に合わせて次々切り替えて、流れのあるひとつのダンスのように見せて、フロアーに居るお客さんのアバターを踊らせていく。

全員が同じ動きになるからさしずめお遊戯会なのだけど、個人単位でダンスを実行するとそれぞれのプログラムが走りゲームが重くなるので、全体を統一するこの日本のシステムは、PCパワーの劣る人でも負担なく皆と共に楽しめる有効な手段だ。

ショーダンスと違い、アドリブでダンスを繰り広げるDMは、DJが流している音楽を聞きながら、曲のジャンル、早さ、リズム、雰囲気等々を総合的に捉えて、それに合うダンスアニメーションを瞬時にその場で選択してつないでいくという、判断力とスピードが要求される作業になる。

曲調が大きく変わるDJが相手になると、次に出てくる音を予想するところまで必要になってくる。曲を重ねながら切り替えてくれれば御の字、唐突に変えるDJにはそのDJの趣向など踏まえた傾向と対策が必要とされるが、実際そうそう当たらないので、何パターンか想定しながら切り替えていく。

つまるところ一種の音ゲー。

またアバターが元気に動いていればそれで満足な人も多いけど、流れている音楽ジャンルにこだわりを持つお客さんがいれば、現実的に音楽とダンスは対の関係にある文化であるので、そこを満足してもらえるように留意することも大切になり、提供する側としても色々と知識を付けることは大いにプラスになる。

更に自分の場合は、お客さん全員がダンサーの気分になれるように、ステージの上の主役の気分になれるように、オーディエンスのダンスは使わず、ショーダンスやストリートダンスのアニメーションを使う。
またなるべくリアルにダンサーが踊っているように、自然な流れになるように組み立てながらつないでいく。
自分のダンスを好きだと言ってくれる人は、こうした流れの気持良さを感じてくれる人たちなのだが、見てない人には唐突に目につく動きがないので何も気付かないというマイナス面もある。

そんなダンスアニメーションは、つなぎ方の選択ができない。途中から再生するなどが出来ないから、データの頭からはじめるしか無い。再生中のアニメーションと、次のアニメーションの頭を無理なくつなぐことが必要になる。

アニメーションは波形も速度も何のデータも可視化されていないから、アバターの居る位置、アバターの手足のポーズなどを参考に、その上で曲とのタイミングも計りながら、前後のダンスのズレが最小限に押さえられるであろうその瞬間を捉えてつないでいく。
それを、概ね20秒から40秒毎に行う。うっかり合わないと思ったら、2秒で切り替えることもある、と実際かなり忙しい作業内容となる。

ちなみにアニメーション始点の基本ポジションとも言える体位置がしっかり決まっていて、かつ再生開始時に動きに対するニュートラルな部分が十分に付いているアニメーションデータであれば、つなぎ方は難しくないのだが、そういうダンスアニメーションを作っている会社は一社しか無い。

とまぁ、そんなダンスの知識や技術も、2-3人で遊んでいるときが一番楽しい。
気兼ねなくダンスに集中して遊べる。
そういうモードなら、4-5時間続けても疲れもしない。

しかしイベントのDMの場合は、それらのダンス技など出来て当たり前、意識してプレイする項目では無くなる。
プレイ時間の殆どは、お客さんの監視に終始する。
アバターを動かし続けながら、ダンスデータが全員にきれいに届いているかを、常に監視している。

うまくデータが届かないお客さんがいれば、そのフォローをしなくてはならない。
それが、提供する側や会場のコンディションのみならず、お客さんの状態によってもラグは発生するのでやっかいだ。
お客さんの人数分アバターの動きを監視するお仕事が、DMのメインの役割となる、文字通りサービス業。
店のスタッフ全員で役割分担をしっかり行っているところもあるが、9割のケースはDM本人がやらなくてはならない。

そうしてお客さん観察をメインのお仕事として、ダンスをいかに楽しく美しく提供するか、ショーの時間を見ながらダンス的にも盛り上がりを作るべくどう組み立てていくか等々考えて、そこでようやくひとつの仕事となる。

と言っても、ここまでやってるDMは全体の数パーセントしかいないだろうと思う。
アニメーションのボタンを押せばアバターは踊り出す。それだけの仕事と思っている人の方が実際は多いし、そのつもりでDMをやっている人も多い。
それだけに、世間的評価は非常に低い仕事となっている。

自分の場合は、ショーダンスのようなダンスの美しさを提供してくれるDMみほろさん、お客さん一人一人をしっかり相手してくれる気遣いのDMのんちゃん、ダンスオタクで面白いダンスを次々提供するDMももさん…そんな素晴らしい先輩方に接してきたので、色々と考え努力してきた。
けどそんな素晴らしい先輩方は、みんな見なくなってしまった(´;ω;`)


自分はぬる~っといい塩梅で済ませられない性質だし、肝心な音楽提供者にはローカルとネットの大きなタイムラグのせいで、細かく切り替えるダンスなど微塵も本当のところを見せられないし、つまらないDMのパーティーに行っても飯がまずくなるし、と拘りがあるからつまらなく感じることも多々あり、そんな色々を開き直るためにも自身DMとかもうやりたくないと思ったりしているのだけど、どーしたもんだか。

ま、ダンスをちゃんと見てくれて楽しいと思ってくれる人には、こちらも頑張って提供しようと思ってはいるけど、仮想のクラブごっこなどややもすればダンスどころか音楽すらまともに聞いてない、チャットや交流目的の人が多く、自分はリアルでもクラブやコンサート行くのが好きな人間だから、まぁそれを思うとどこまで続くんだかってところ。

パトラッシュ、僕はもう疲れたよ。


仮想VR 世界のプロDJフェスティバル


SecondLife の リンデンラボが開発し、結局今年春に手放した Sansar。
当初、次世代SecondLifeとしてSecondLifeユーザーに期待され、しかし一般公開になって飛びついた大半の人はがっかりして、そのまま忘れ去られていたものだ。

しかし今、クラブミュージック販売サイト大手の Beatport による、ネット上音楽フェスが、なんとその Sansar 上で仮想フェスとして展開されていることを当日知り、慌ててインストールして行ってみた。

出演者が実写ホログラムで舞台にリアルタイムに映し出され、今までになく実際のクラブ感が得られる。
VRとPCモニターのどちらでも楽しめるアプリケーションなのだが、VRでその中に入ると、より一層リアルの感覚だ。
リアルと違うのは、周囲に変な生き物がいるくらいのことで、リアル感覚故にその奇妙さが尚更笑えてくるw

コロナの影響で現実のクラブもイベントもお預け状態なので、週末にもなれば多くのアーティストがライブストリーミングで音楽を聞かせてくれるが、このVRの世界でアバターを介してライブ体験できるのは、You Tube を見るより何倍も楽しい。

とまぁ私は滅茶苦茶楽しく感動したのだけど、毎晩のようにクラブごっこしている仮想ユーザーは、リアル感など全く求めていないようだw
音楽やダンスはトッピングみたいなもので、友達と会うことが第一の目的なのかもしれない。

一方で Beatport フェスティバルの客は、むしろ音楽ファンだったことをチャットから伺い知れた。
この仮想フェスもリアル同様幾つかのステージが用意されていた。
私は、Drum+Bass という一般的に言ったらマニアック路線のジャンルが展開されるライブステージに行っていたのだが、結構な人たちは出演者のことも知っていて、客の反応も含めてそこはリアルのクラブのようだった。

PCの前に座っているだけで、ロンドンのクラブへ行けちゃう、これは本当に夢の世界だ。
こういうイベントが増えてくれたら、私としては本当に有り難く思う (´ω`)